病院、訪問看護、地域支援センターなどが患者を支える

欧米の先進国が加盟しているOECD各国と日本の精神科病床数を比べてみると、日本は各国の2〜3倍近くと非常に多くの病床数があることがわかります。

1960年代に開発された抗精神薬によって、欧米諸国では病院を閉鎖して、地域で精神疾患を抱えた患者さんをサポートしようという時代に入ったのです。そして病状が不安定な急性期のときだけ精神科病院へ入院し、退院するというシステムが構築されました。

日本でも一昔前までは、精神疾患の病状は回復しつつあるのに、地域に在宅サービス(訪問看護やホームヘルプサービス)、相談できる場所(地域活動支援センター)が十分に存在しなかったため、なかなか退院できないということがありました。

今日では、住みなれた自宅で療養し、身近の病院やクリニック、デイケアなどでリハビリ施設が整備されつつあり、精神疾患の方を支援する看護職(訪問看護師)の数も増えてきました。精神疾患を持つ人の治療では、その地域に安心できる環境や人間関係があることが何より大切です。

近年は、同じ病気から回復した人が、現在も同じ病気に悩む患者の様々な相談にのる「ピアサポート」というシステムを取り入れる自治体や病院が出てきました。ピアサポートは支援を受ける側は日常の生活や就職の相談にのってもらったり、入院している人は退院に関する相談をしてもらったりします。

サポートする側にも精神状態がより安定する効果があることがわかっており、支援をする側、される側の双方に効果が期待されます。入院ではなく地域に住むことは患者としてではなく、病気は会ってもそれを自分の一部として、上手に折り合いながら自分らしく生きるという、人としての当然の権利が尊重され、当たり前の生活を送ることが目指されます。

看護師をはじめとした支援者は、このような考え方を知り、患者の回復の目標にあわせた支援を行うことが求められるのです。